フランスに来て、パーティなどで騒げる友達はあちこちにいても、そんなには信頼できる友達は沢山いないほうだと思いますが、たまに、ふと悩んでいるときに会うと、落ち着いて話を聞いてくれたり、一緒にいるだけでホッとできる、貴重な年上のフランス人の女子友達がわずか2、3人います。
夏休みの終わりごろ、これまで、あまり話をしたことのないけれど、一方的に、私が娘のことなどを相談をしたい・・・、と思っていたブリジットとあう機会がありました。
その前に、ブリジットのお母さんに偶然会ったときに、彼女が、夫に、
「また、例のいつもの病気で・・・あまり調子が良くないみたいなのよ・・・」
と悲しそうに言っていたのですが、ブリジットに会ってみると、たしかに、以前よりもやせたような感じなので、
「この間、お母さまが心配していたけれど・・・、病気は、もう大丈夫なの?」
と声をかけると、
「ああ・・・」とブリジットが微笑みながら、
「特に病気をしているわけではないのよ!」
と言うので、お母さまが心配していた、ということを言うと、夫がそばにやってきて、
「ごめんごめん!・・・サラは、君の家庭の事情をしらないから・・・」
とブリジットに謝っていました。
ブリジットは、
「特に隠していることでもないから、いいのよ・・・!」
と、説明してくれたのですが・・・
ブリジットはパトリックと結婚して、もう20年以上が経っていて、子供ももうそろそろ独立、という年齢の子が3人いるのですが・・・
パトリックは、もともと離婚暦があって、前の結婚でも、子供が3人いるのだそうです。
そこまでは、私も知っていたのですが・・・
ブリジットによると、結婚する前から、パトリックは、
「僕は、一夫一妻制は、守れないから!」
とはっきり言っていて、本人はコミューンのような暮らしを理想(←ヒッピー!?)としており、それを標榜していたそうです。
そんな価値観は共有できないものの、やはり好きだったので、自分でも、理屈ではその点を納得して、結婚したものの・・・
実際に、結婚生活が始まると、日常的に苦しめられるようになりました。
たとえば、パトリックに彼女ができると、ピクニックとか、家族でどっかに行くときとかにも、当然のように、その彼女が一緒に参加するのだそうです!
その辺が、パトリックいわく「コミューン」なんだと思いますが・・・
さすがに、ブリジットも、毎回、嫉妬に苦しんだりしたそうですが、子供が小さいうちは、フルタイムの仕事も抱えて、それなりに充実感があったので、一応は、それでも均衡が保たれていたのだそうです。
そして、末の子供が高校に入った頃に、とうとう、これまで二人で頑張って貯めたお金をはたいて、夢の我が家を新築したのですが・・・
その夢のマイホームに住み出して以来、ブリジットは、どっと虚脱感に襲われて、うつのような、何もできない状態になってしまったのだそうです。
それが3年前のことで、それ以来、パトリックとブリジットは、「家族ではあるけど、夫婦ではない」という感じで、同じ家に住み続けているのだそうです。
「本来ならば、子供に手がかからなくなって、苦労して働いたお金で、素敵なマイホームもやっと整って、これから、夫婦での時間をゆっくり楽しめる頃なのにね!」
と苦笑いしながら、ブリジットが言うには・・・
20年の結婚生活で、パトリックは、自分の自由を絶対に犠牲にしなかったけど、自分は、頼まれていないのに、どんどん自分の時間を犠牲にして、気持ちも抑えて、それで最後には、自分が何をしたいかも、分からなくなっていってしまったのだそうです。
そして、女友達にそんな悩みを話しても、仲の良い親友はこぞって、
「そんな男、さっさと別れて、別の人生を歩むべきよ!」
と憤慨するだけで、力になってくれなかったのです。
(友達に、ブリジットみたいな人がいたら・・・私も多分そういう反応をしてしまうと思います・・・)
パトリックの行動が許せないとは思いつつ、それを知っていて結婚したのは自分だし、それでもパトリックを愛している、と感じていたブリジットには、親友たちにいくら背中を押されても、パトリックと別れる、という結論は、何かが違う・・・、というふうにしか感じられなかったのだそうです。
「ところが、ひとりだけ、本当に私を助けてくれる女性があらわれたのよ!
パトリックの行動の悪い点は悪いと言うけど、彼の人格を否定せず、私の気持ちをすべて打ち明けても、それをちゃんと理解して、受け止めてくれる女性・・・」
それが、なんと、お姑さん(つまり、パトリックのママ)だったのだそうです!
この二人が、パトリックがやっていることは悪い、でも、パトリックを愛する気持ちには変わりはない、という点で、深いつながりを築いて、それをきっかけに、ブリジットは這い上がって来ることができたのだそうです。
お姑さんに、すべてを打ち明けて、話ができたことと、今のパトリックの彼女が、とても感じのいい人で、やっと、「嫉妬せずに、夫の彼女の存在を受け入れられるようになった」ことで、ブリジットは、最近やっと、自分のこれからの人生を、生きていける勇気みたいなのが出てきたのだそうです。
そして、これまでも、パトリックに対抗して、「私も、家の外に恋人を作ろう・・・」と思っても、結局、最後まで踏み切れず、未遂に終わった恋愛沙汰がいくつかあったのだそうですが・・・
これからは、本格的に、新しく一緒にいられる相手を見つけたいと思う、とのことでした。
「私だって、みんなと同じ。calin(スキンシップ)が欲しいもの・・・」
と、はっきり言うブリジットは、もう若くはないものの(50代)、とても魅力的で女性らしいと思いました。
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